「次、誰が打つんだっけ?」「まだグリーンに乗っていない自分が先?」「準備ができたから先に打ってもいい?」。ゴルフのラウンドでは、スイング以外にも迷いやすい場面があります。打つ順番は小さなことに思えるかもしれませんが、判断を誤ると同伴者を待たせたり、互いのプレーを妨げたり、ときには危険につながったりします。
結論は、基本の順番と、プレーを円滑に進めるための例外をセットで覚えること。ティーショットは原則として「オナー」、2打目以降はホール(カップ)から遠い球が先です。ただし、一般的なストロークプレーでは安全と他の人への配慮を守りながら、準備ができた人から打つ「レディーゴルフ」が認められ、推奨されています。
意外と知られていないのは、グリーンに乗った球より、グリーン外の球が必ず先になるわけではないことです。例えば、グリーン上でカップまで12mのAさんと、グリーン外のカラーから6mのBさんなら、通常の順番はAさんが先です。グリーンに乗っているかどうかではなく、カップからの距離で判断します。
この記事では「ルール上の原則」「ストロークプレーでの柔軟な運用」「競技で注意したい例外」を分けて解説します。読み終えたときに、ティーからグリーンまで、次の一打を誰が打つか迷いにくくなることを目指します。
- まず結論:ゴルフの打つ順番はこの表で確認
- ティーショットは誰から打つ?オナーの決め方
- 2打目以降は「グリーンから遠い」ではなく「カップから遠い」が正しい
- 【重要】グリーンに乗っていなくても、カップに近ければ後から打つ
- レディーゴルフとは?プレーファストのために準備できた人から打つ方法
- 2打目からグリーンまで、場面別のレディーゴルフ実践例
- ストロークプレーとマッチプレーでは、打順を間違えた結果が違う
- 暫定球を打つときは順番が別扱いになることもある
- 「レディーゴルフで先に打っていいか」を判断する5つのチェック
- 実戦シミュレーション:3人で回るホールの打順を考えよう
- プレーファストは打順だけではない:ラウンドを円滑にする準備
- ありがちな勘違いと、現場での伝え方
- すぐに使える声かけ例:相手を急かさない言い方
- よくある質問(FAQ)
- Q. 2打目は誰から打つのが正しいですか?
- Q. グリーンに乗った人と、乗っていない人はどちらが先?
- Q. パターは必ず遠い人からですか?
- Q. 1番ホールで誰から打つか決まっていません。どうすれば?
- Q. 前のホールが同じスコアだったらオナーは?
- Q. ハンディキャップのあるコンペではネットスコア順になりますか?
- Q. レディーゴルフなら順番を抜かしても失礼ではない?
- Q. 打順を間違えたらペナルティーはありますか?
- Q. マッチプレーでも先に打っていいですか?
- Q. 暫定球を打つ人は、すぐ続けて打つのが基本ですか?
- Q. 40秒以内に打たないと罰打になりますか?
- Q. 先に打てる状況でも、周囲に人がいたらどうしますか?
- まとめ:正しい順番を知って、必要なときは安全に入れ替える
- 公式ルール・参考資料
まず結論:ゴルフの打つ順番はこの表で確認
| 場面 | 通常の順番 | 実際のラウンドでの考え方 |
|---|---|---|
| 最初のホールのティーショット | 組合せ表などの指定順。指定がなければ相談・くじなど | 出発前に決めておくと混乱しない |
| 2ホール目以降のティーショット | 前ホールのグロススコアが少ない人から | 同スコアなら前のティーの順番を引き継ぐ |
| 2打目・3打目・アプローチ | カップから遠い球が先 | 安全で責任あるレディーゴルフなら先後の調整可 |
| グリーン上とグリーン外が混在 | オン・オフに関係なくカップから遠い球が先 | 先にアプローチする方が円滑なら声かけして調整 |
| パッティング | カップから遠い球が先 | 短い残りを続けて入れる「お先に」も条件付きで可 |
| マッチプレー | 基本の打順の意味がより大きい | 順番を間違えると相手に打ち直しを求められる場合がある |
この考え方は、R&Aのゴルフ規則6.4「ホールをプレーするときのプレーの順番」で定められています。レディーゴルフも「最近のマナーだから何となく許される」という話ではなく、現行規則に明記された考え方です。
ティーショットは誰から打つ?オナーの決め方
最初のホールは組合せ表の順番、なければ相談やくじ
一日の最初のティーショットで「誰が最初ですか?」となることがあります。最初のホールは、競技委員会が決めた組合せ表の順番に従うのが基本です。順番の指定がないプライベートラウンドなら、同伴者で相談したり、ティーを使ったくじなど公平な方法で決めたりすれば大丈夫です。
最初に打つ人をオナー(honour)と呼びます。オナーを決めたら、他の人も順番を確認しておくと、スタート直前の慌ただしさを減らせます。もしスタートホールが1番ではなく10番からでも、「その組が最初にプレーするホール」がスタートのホールです。
2ホール目以降は前ホールのグロススコア順
通常のストロークプレーでは、前のホールで最も少ない打数だった人が次のティーイングエリアでオナーとなり、次にスコアが少ない人が続きます。ここで使うのは実際に打った総打数に罰打を含めたグロススコアです。ハンディキャップを差し引いたネットスコア順ではありません。
例えば前のホールでAさんが4、Bさんが5、Cさんが6なら、通常の順番はA→B→Cです。パー、ボギーといった呼び方より、実際の打数に注目すれば整理しやすくなります。
同じスコアだったら、前のティーの順番を維持
AさんもBさんも前のホールが5だった場合、通常はその2人が前のティーイングエリアで打つべきだった順番を引き継ぎます。直前のホールでレディーゴルフによって実際の打順を入れ替えていたとしても、それだけで本来のオナー順が変わるわけではありません。
プライベートのストロークプレーで毎回オナーを厳密に計算し直さないことはあります。しかし、基本を知っていれば「本来はAさんだけど、先に準備できたBさんから行きましょう」と自然に相談できます。
ティーショットもレディーゴルフで先に打てる?
はい。ストロークプレーで安全を確保でき、同伴者のプレーを妨げないなら、準備ができた人から先に打つことは認められています。ただし、オナーがすぐ打てる状態で先に打ちたい意思を示しているなら、通常はその人を待つべきです。
先にクラブを持っている人が勝手に打ち始めるのではなく、「先に準備できたので、打ってもいいですか?」と一声かけるのが実用的です。特に初対面の組やコンペでは、最初に「安全な場面はレディーゴルフで進めましょう」と共有しておくとやりやすくなります。
2打目以降は「グリーンから遠い」ではなく「カップから遠い」が正しい
遠球先打とは、ホールから遠い球が先という意味
ティーショットが終わったら、基本はホールから最も遠い位置にある球のプレーヤーが先に打ちます。これは一般に「遠球先打(えんきゅうせんだ)」と呼ばれる考え方です。
ここで注意したいのは「グリーンから遠い人」とだけ覚えないこと。グリーンは面積が広く、端に球があると、花道やカラーにある別の球よりカップから離れていることもあります。判定する基準は、あくまでも狙うホールまでの距離です。
例えばAさんのボールがフェアウェイでカップまで150m、Bさんがラフで100mなら、通常はAさんが先です。球のあるエリア、クラブの種類、前の打数、上手な人か初心者かは原則の判断基準ではありません。
打った回数が多い人が先、ではない
「Aさんはまだ2打目だけど、Bさんは4打目だからBさんが先?」という迷いもあります。通常の打順を決めるのはその球の位置からホールまでの距離であり、そこまでに何打使ったかではありません。
例えばAさんは2打目でカップまで70m、Bさんは4打目で120mなら、距離の原則ではBさんが先です。ただしBさんが球を捜していてAさんが安全に打てる状態なら、ストロークプレーでレディーゴルフを検討できます。
同じ距離か、どちらが遠いか分からない場合
数メートルしか違わないように見えたり、カップの反対側に同程度の距離で止まっていたりすると、目測では決めづらいことがあります。公式規則では、同距離または相対的な距離が分からない場合、同意または無作為な方法で決めるとしています。
一般のストロークプレーで毎回測定する必要はありません。「どちらでもよさそうですね。準備できた方からどうぞ」と相談すれば、ルールを踏まえながらペースも守れます。競技では進行ルールや委員会の指示も確認しましょう。
【重要】グリーンに乗っていなくても、カップに近ければ後から打つ
ここは初心者だけでなく、長年ラウンドしている人でも混同しやすいポイントです。「グリーンに乗っていない人からアプローチして、その後で全員がパットする」と思っていませんか。進行上その順序にすることはありますが、基本の打順を決める規則は、グリーンに乗ったかどうかで区別していません。
ケース1:Aさんはグリーン上12m、Bさんはカラー6m
| プレーヤー | 球の場所 | カップまでの距離 |
|---|---|---|
| Aさん | グリーン上 | 12m |
| Bさん | カラー(グリーン外) | 6m |
通常の順番はAさん→Bさんです。「Bさんはまだ乗せていないから先」という決め方ではありません。グリーン外の球のほうがカップに近い以上、距離の原則ではAさんが先となります。
ただしAさんがまだラインを確認中で、Bさんの短いアプローチを先に済ませた方が効率的なら、ストロークプレーでは「先にアプローチしてもいいですか?」と確認して、安全にプレーできます。これがルール上の原則とレディーゴルフの違いです。
ケース2:Aさんはグリーン上3m、Bさんはバンカー15m
この場合はBさんが遠いので、通常はバンカーから打つBさんが先です。バンカーショットが難しいから、パットの方が早く終わりそうだから、という理由で自動的に順番を変えるわけではありません。
一方、Bさんがレーキの位置や砂の状態を確認している間にAさんが安全にパッティングできるなら、順番を調整できる場合があります。ただし、Bさんのショットの方向、砂が飛ぶ範囲、グリーン上を横切る動線などを確認してからにしましょう。
ケース3:花道から3mの人と、グリーン端から18mの人
「花道の球はグリーンに乗っていない」といっても、カップまで3mなら、18mのパットを残している人より近い位置にあります。通常は18mの人が先です。ホールを中心に距離を見ると、見た目の思い込みが消えます。
この違いを知っていると、同伴者のパッティングの準備を妨げずに済みます。もし先に花道から転がすなら、相手に一言伝えましょう。後述するレディーゴルフは「勝手に割り込むための口実」ではなく、「状況に合った打順を安全に選ぶ方法」です。
実際の判断は「遠い人が原則、その場で最適化」
ルールを知っていると「誰が本来先か」がすぐ分かります。一方、競技形式に適した範囲で柔軟に調整することも大切です。最も避けたいのは、順番を知らないまま「グリーン外だから当然自分が先」と考えて打ち始め、相手の準備やライン読みを妨げることです。
レディーゴルフとは?プレーファストのために準備できた人から打つ方法
「速く打つ」ではなく「待ち時間を減らす」考え方
レディーゴルフ(ready golf)は、安全と責任を前提に、本来の順番と違っても準備できた人からプレーすることです。R&Aの規則6.4b(2)は、ストロークプレーでのレディーゴルフを認め、推奨しています。USGAの「Order of Play / Ready Golf」解説でも、ホールから遠い人が通常は先である一方、安全で責任あるレディーゴルフが推奨されています。
「プレーファスト」と聞くと、とにかく急いで打つ印象を持つかもしれません。しかし本質は、他の人が打てない時間を利用して、別の人が安全に準備を済ませたりプレーしたりすること。走って打つ、確認を省く、前の組に危険を与えることではありません。
認められる代表的な場面
- 本来先に打つ人が別の球を探しており、別の人は安全に打てる。
- 先に打つ人がクラブを取りに戻っており、準備ができた人がいる。
- 2人が時間節約のために、先に準備できた人から打つことに同意した。
- カップのすぐ近くに止まった人が、安全を確認して続けてホールアウトする。
- ティーショットで本来のオナーがまだ準備中だが、別の人が安全にプレーできる。
これらは「いつでも無条件に先に打ってよい」という意味ではありません。人の動き、打球方向、相手の準備状況、競技形式を見て判断します。まず基本の順番を理解したうえで、必要な場面だけ柔軟に運用するのが分かりやすい方法です。
本来の順番の人が「先に打ちたい」と言ったら?
本来先の人が準備を終えていて「私が先に打ちます」と意思表示している場合、ストロークプレーでも通常はその人が打つまで待つべきとされています。すでに構えている人の前で素振りを始めたり、「早い者勝ちだから」と急いで打ったりするのは避けましょう。
コミュニケーションは短くて十分です。「今、打てますか?」「まだなら私から打ちますね」「どうぞ、お願いします」。これだけで、タイミングの衝突をかなり減らせます。
レディーゴルフでも優先順位は「安全→配慮→進行」
打順に迷ったら、①前方や横方向に誰かがいないか、②誰かがすでにアドレスに入っていないか、③自分が準備できているか、④先に打つことを伝えられるか、という順番で考えます。特に前方のプレーヤーが打球の届く範囲にいる場合、打順を変えても安全が確保されるまでは打ってはいけません。
相手が球を探しているからといって、その方向へ打つのも危険です。「自分の球の方が手前にあるから安全」と思い込まず、狙う方向とミスショットの可能性も考慮してください。状況によっては待つことが最も速く、最も適切な選択になります。
2打目からグリーンまで、場面別のレディーゴルフ実践例
フェアウェイ:遠い人がクラブ選択中、近い人は準備完了
Aさんが残り170m、Bさんが残り145m。通常はAさんが先ですが、Aさんはクラブを取りにカートへ戻っており、Bさんは準備できています。このときBさんが安全に打てる位置なら、Aさんに確認して先に打つ選択ができます。ただしAさんが前方で移動している場合、距離だけで判断せず、打球が届く場所から離れていることを確認しましょう。
この場面では打順の知識に加え、どの方向へ球を運ぶかという判断も必要です。100切りのコースマネジメントと2打目の判断基準も参考にすると、急いで打つだけでなく、ミスを減らす選択につながります。
ラフ:1人が球を探している間に、別の人が打つ
Aさんの球がラフで見つからず、Bさんはフェアウェイに止まった球を確認済み。Bさんの打球方向にAさんや他のプレーヤーが入っていないなら、Bさんが先に打つ方が進行しやすい場合があります。反対にAさんがフェアウェイ前方のラフで捜索しているなら、Bさんは危険なので待ちます。
プレーを進めることと、球探しを助けることのどちらを優先するかは状況次第です。ラフで発見できた後の打ち方については、ラフに沈んだ球や逆目からの打ち方を別の記事で詳しく扱っています。
カート移動:一番遠い球へ毎回全員で集まる必要はない
乗用カートで移動するとき、通常の順番どおり遠い人の球を確認しつつ、他の人が先に自分の球や次の狙いを確認しておくと、打つ直前の待ち時間を減らせます。しかし「それぞれ勝手に散らばって打つ」では安全が保てません。クラブを持って降りる位置、次に集合する場所、お互いの球の方向を確認しましょう。
クラブを持っている人から打つという単純な順番ではなく、打球方向が交差しないか、カートや人が視界に入らないかを踏まえた連携が必要です。
グリーン周り:アプローチを先に済ませる方が早い場合
Aさんがグリーン端から15m、Bさんが花道から7m。通常はAさんが先ですが、Aさんがマーカーを置いてラインを読む準備をしていて、Bさんがすでにクラブを選び、打球方向にも人がいないなら、ストロークプレーではBさんが先に打つことがあります。
大事なのは、Bさんが「自分はオンしていないから先」と判断するのではなく、「本来の順番はAさん。ただ、時間を節約できるので相談して入れ替える」と理解していること。このひと手間が、余計な気まずさを防ぎます。
パター:「お先に」は必ずしも順番違反ではない
長いパットを打った球がカップまで30cmに止まったとします。別のプレーヤーがまだ数メートルを残しているなら通常の順番ではそちらが先ですが、短い距離を続けてホールアウトするのはストロークプレーのレディーゴルフで想定されている使い方の一つです。
ただし、他の人が構えている最中に急に歩き出したり、パッティングラインを踏んだり、先に打つ人の集中を乱したりしないこと。「お先に失礼します」と確認してからにしましょう。パット数の管理や3パットの防止は、100切りに必要なパット数と3パットを減らす方法でも解説しています。
ストロークプレーとマッチプレーでは、打順を間違えた結果が違う
一般的なストロークプレー:順番違いだけなら原則無罰
スコアの合計を競うストロークプレーでは、通常の打順と違う順番で打ってもそれ自体に罰はありません。だからこそレディーゴルフが可能です。週末の一般的なラウンドや多くのコンペでも、この形式が用いられます。
ただし、あるプレーヤーを有利にする目的で、複数のプレーヤーが意図的に順番を入れ替えることに合意し、実際にその順番で打った場合は、規則6.4b(1)に基づき、合意した各プレーヤーに一般の罰(2罰打)が科される場合があります。「いつでも順番違いは無罰」と丸暗記しないようにしましょう。
マッチプレー:相手がストロークを取り消せる場合がある
ホールごとの勝敗を競うマッチプレーでは順番がより重要です。相手の順番なのに先に打った場合、罰打はありませんが、相手がそのストロークを取り消し、打ち直しを求める権利があります。取り消すなら速やかに、両者のどちらかが次のストロークを行う前に伝える必要があります。
例えばAさんが先に打つべき場面でBさんが先に打ち、結果的にカップのそばへ寄せたとしても、Aさんは条件を満たせばBさんのそのストロークを取り消せます。普段のストロークプレーと同じ感覚で先に打つとトラブルになりかねません。
マッチプレーにも時間節約のための合意による例外はある
マッチプレーであっても、時間節約のために当事者が同意して順番を入れ替える例外があります。この場合、同意に基づいて相手が打ったストロークについて、順番違いを理由とする取り消しの権利は放棄したことになります。競技形式が分からないときは、打順を勝手に変えずに確認しましょう。
| 項目 | ストロークプレー | マッチプレー |
|---|---|---|
| 順番の基本 | オナー/ホールから遠い球 | オナー/ホールから遠い球 |
| 順番違い | 原則無罰(有利にするための合意には例外) | 無罰だが相手が取り消せる場合がある |
| レディーゴルフ | 安全・責任ある方法で推奨 | 時間節約のため当事者の合意による例外 |
| 初めての人へのおすすめ | 一声かけて安全に調整 | 先に競技形式と相手の意思を確認 |
暫定球を打つときは順番が別扱いになることもある
ティーショットが紛失球の可能性があるときに暫定球をプレーする場面も、順番の誤解が起きやすいところです。規則6.4cでは、ティーイングエリアから暫定球や別の球を打つ場合、原則としてその組の他のプレーヤーが最初のストロークを終えてからその球を打つ順番になると定めています。
例えばAさんが最初にティーショットを打ち、OBの可能性があるため暫定球を打ちたい場合、ほかの人がまだ最初のティーショットを打っていなければ、まずその人たちの最初のストロークを待つのが通常の順番です。ここでもストロークプレーにおける安全なレディーゴルフの取り扱いは別途考慮します。
なお、暫定球を打てる条件や宣言方法そのものは、打順とは別の規則上の問題です。「もう1球打ちます」と曖昧に言うより、暫定球としての意思を明確に示す必要があります。競技中は規則18.3とローカルルールも確認してください。
「レディーゴルフで先に打っていいか」を判断する5つのチェック
- 形式を確認する。ストロークプレーなのか、マッチプレーなのか。順番違いの扱いが異なります。
- 本来の順番を把握する。ティーショットはオナー、2打目以降はカップから遠い球を基準にします。
- 前方と横方向の安全を確認する。他の人が届く範囲にいる場合は、準備ができていても打ちません。
- 先に打つ合理的な理由があるか考える。本来の順番の人が準備中で、自分なら安全に打てるなど、待ち時間の短縮につながるかを判断します。
- 短く声をかける。「先に打ちますね」「準備できてますか?」「お先にどうぞ」など、同伴者とタイミングを合わせます。
この5点を習慣化すると、ルールを守ることとプレーを円滑にすることが対立しにくくなります。初対面の組では、朝のスタート時に打順の進め方を確認しておくと効果的です。
実戦シミュレーション:3人で回るホールの打順を考えよう
ティーイングエリア:前のホールはA=4、B=5、C=5
本来のオナーはAさんです。BさんとCさんは前のティーイングエリアで打つべきだった順番を引き継ぎます。仮にBさんが次、Cさんがその次ならA→B→Cです。Aさんがグローブを忘れて戻っており、Bさんの準備ができていて安全なら、ストロークプレーではAさんに確認してBさんから先に打つこともできます。
2打目:A=残り145m、B=残り170m、C=残り130m
カップからの距離だけでみれば、B→A→Cが通常の順番です。ここでBさんが前方のボールを確認しに歩いているなら、Aさんは安全が確保できるまで打ちません。Bさんが戻り、Aさんの打球方向から外れていることを確認してから、レディーゴルフを検討します。
グリーン周り:A=グリーン上12m、B=カラー6m、C=花道18m
通常の打順は、カップから遠い順のC→A→Bです。Aさんがオンしていることも、Bさんがオンしていないことも、最初の判断には関係ありません。ここでAさんがすでにパットの準備を終え、Cさんがクラブを選んでいるなら、互いの意思と安全を確認したうえで、ストロークプレーではAさんが先に打つ選択ができます。
パッティング:Aさんの球がカップ横20cm、Cさんはまだ5m
通常の距離順ではCさんが先です。しかしAさんがさっと続けて入れたい、Cさんがまだラインを読んでいる、そして邪魔にならないという条件がそろえば、「お先に」とAさんがホールアウトする方法もあります。逆にCさんがすでに構えているなら邪魔せず待つことが大切です。
このように、通常の打順を頭に入れたうえで、安全・相手の意思・進行を見て柔軟に判断すると、プレーファストが実践しやすくなります。
プレーファストは打順だけではない:ラウンドを円滑にする準備
人が打っている間に、自分の次のクラブや狙いを考える
順番が来てから距離計を取り出し、風を確認し、クラブ選択を始めると、打つまでの時間が長くなります。もちろん周囲への安全配慮が最優先ですが、他の人のプレーを邪魔しない範囲で次の一打の候補を考えておけば、番が回ったときに落ち着いて打ちやすくなります。
「クラブを先に決めておく」といっても、前の人の球の行方を見ないことではありません。打球の確認や周囲への配慮をしながら、待ち時間を準備に使うのが理想です。
自分の球と同伴者の球の位置を共有する
同伴者の球が右ラフ、自分の球が左フェアウェイにあるなら、誰が先か、誰を先に探すか、どちらから安全に打てるかが変わります。見える範囲で球の落下地点を把握し、「右の木の奥です」「こちらの球は見えています」と共有すれば、移動や捜索の重複が減ります。
見失った球を探すときは、自分が進行の障害になっていないかも確認しましょう。ただし急いで探して危険な斜面に入ったり、打球が届く場所で立ち止まったりしないことが重要です。
グリーン周りでは次のホールへの動線も考える
グリーン近くに使わないクラブを置く場合は、他の人のラインや通行を妨げず、グリーンの外側で次のティーへの動線を意識します。ホールアウト後にカートや置いたクラブまで戻る距離を短くすれば、慌ただしくせず移動を進められます。
スコアの記入や会話も、後続の組のプレーを妨げない場所で行うなど、小さな習慣が積み重なります。順番だけを速くしても、移動や準備に時間がかかれば組全体のペースは変わりません。
「40秒」は準備を急げという一律の制限ではない
R&Aの規則5.6b「速やかなプレーのペース」では、自分が支障なくプレーできるようになったら、通常40秒以内にストロークすることが推奨されています。これは「すべての場面で40秒を超えたら即罰打」という意味ではありません。競技委員会が別途ペース・オブ・プレーのローカルルールを定めることもあります。
焦ってミスを増やすより、早めの準備で落ち着いた時間を作るのが合理的です。雨の日はクラブや足元の準備に普段より時間がかかりやすいため、雨の日のゴルフ準備とラウンド中の注意点も併せて確認すると役立ちます。
ありがちな勘違いと、現場での伝え方
勘違い1:「グリーンに乗っていない人は必ず先」
正しくはカップから遠い球が先。オン・オフだけでは決まりません。グリーン外の人が先に打つ運用もあり得ますが、それはレディーゴルフなどによる調整です。「まだ乗ってないから先」という言い方より「先にアプローチしても大丈夫ですか?」と尋ねる方が誤解を生みません。
勘違い2:「レディーゴルフだから準備できた人が絶対優先」
レディーゴルフは強制的な優先権ではありません。本来の順番の人が準備完了で先に打ちたいと示した場合は通常待ちます。譲り合いのある進行が前提です。急いでいる人ほど、相手のタイミングを見ることが大事です。
勘違い3:「同じ距離ならスコアが良い人から」
2打目以降の同距離や比較不能な距離では、原則として同意または無作為な方法で順番を決めます。オナー順をそのまま使っても、当事者が同意しているなら一つの方法です。何分も議論する必要はありません。
勘違い4:「スコアが悪い人が先に打つ」
前のホールのグロススコアは次のホールのティーショットの順番を決めるときに使います。2打目以降は基本的にその場のカップまでの距離を基準にします。混同しないために、「ティーは前ホールのスコア、その後は距離」と覚えると簡単です。
勘違い5:「安全確認よりプレーファストが大事」
これは逆です。レディーゴルフは安全・責任あるプレーを前提に認められています。前方に人がいる、隣のホールからプレーヤーが入ってきている、カートが進行方向にある。そんな時は打つこと自体を止め、状況が整うまで待ちましょう。
勘違い6:「打順が違っても、すべての競技で無罰かつ問題なし」
ストロークプレーとマッチプレーでは扱いが異なり、さらに有利を与えるための意図的な打順変更には例外的な罰が設けられています。プライベートラウンドの感覚をそのまま競技に持ち込まず、競技形式とローカルルールを確認してください。
すぐに使える声かけ例:相手を急かさない言い方
| 場面 | 自然な声かけ | 意図 |
|---|---|---|
| 自分の準備が先に整った | 「準備できたので、先に打っても大丈夫ですか?」 | 相手の順番を尊重する |
| 相手がまだクラブ選択中 | 「私から先に打ちましょうか?」 | 待ち時間を減らす提案 |
| 相手に先に打ってほしい | 「こちらはまだ準備中なので、お先にどうぞ」 | 迷いをなくす |
| グリーン外から先に打ちたい | 「距離はそちらが遠いですが、先にアプローチしてよいですか?」 | 通常の順番を理解していると伝える |
| 短いパットを続けて打ちたい | 「お先に失礼します」 | 他の人の邪魔にならないよう確認 |
| 前方に同伴者がいる | 「まだ前に人がいるので、待ちましょう」 | 安全を優先する |
大切なのは丁寧な言い回しを暗記することより、打ち始める前に周囲とタイミングをそろえることです。短い一言で十分ですし、相手に「必ず今すぐ打って」と圧力をかけないこともプレーファストの一部です。
よくある質問(FAQ)
Q. 2打目は誰から打つのが正しいですか?
A. 基本はカップから最も遠い球のプレーヤーからです。フェアウェイかラフか、何打目かという違いは通常の順番の基準になりません。ストロークプレーでは安全なレディーゴルフによって順番を調整できます。
Q. グリーンに乗った人と、乗っていない人はどちらが先?
A. グリーンに乗ったかどうかでは決まりません。カップから遠い球が先です。グリーン上12mとカラー6mなら、通常はグリーン上12mの人が先です。
Q. パターは必ず遠い人からですか?
A. 通常の順番は遠い人からです。ただしストロークプレーでは、短い距離を「お先に」と続けてホールアウトするなど、安全で他の人を妨げないレディーゴルフが認められています。
Q. 1番ホールで誰から打つか決まっていません。どうすれば?
A. 組合せ表に順番の指定があるならそれに従います。指定がないなら同伴者の同意やくじなど無作為な方法でオナーを決められます。何となく年長者や上級者から、と決めつける必要はありません。
Q. 前のホールが同じスコアだったらオナーは?
A. ストロークプレーでは、同じスコアだった人たちは前のティーイングエリアでの本来の順番を引き継ぎます。レディーゴルフで実際の順番が入れ替わっていても、それだけで本来の順番は変わりません。
Q. ハンディキャップのあるコンペではネットスコア順になりますか?
A. いいえ。通常のストロークプレーのオナーはグロススコアに基づきます。競技の順位付けにネットスコアを使う場合でも、打順の判断は別です。
Q. レディーゴルフなら順番を抜かしても失礼ではない?
A. 安全に打てる状況でも、一言の声かけはおすすめです。本来の順番の人が準備できていて先に打ちたいと伝えている場合は、通常は待ちます。レディーゴルフは相手を無視して先に打つことではありません。
Q. 打順を間違えたらペナルティーはありますか?
A. ストロークプレーでは順番違い自体は原則無罰です。ただし特定のプレーヤーを有利にするための合意による入れ替えには例外があります。マッチプレーでは、相手がそのストロークを取り消せる場合があります。
Q. マッチプレーでも先に打っていいですか?
A. 通常は決められた順番を守ります。ただし、時間節約のために相手と同意して順番を入れ替える例外があります。相手の同意なしに勝手に先に打つのは避けましょう。
Q. 暫定球を打つ人は、すぐ続けて打つのが基本ですか?
A. ティーイングエリアからの暫定球については、原則として他のプレーヤーの最初のストロークを終えてから打つ順番になります(規則6.4c)。ただしストロークプレーのレディーゴルフにより安全に調整することもあります。
Q. 40秒以内に打たないと罰打になりますか?
A. 規則5.6bの40秒は、支障なくプレーできるようになってからの推奨時間です。常に40秒を過ぎた瞬間に自動的に罰打となるものではありません。一方、プレーの不当な遅延は別の規則で問題になり、競技ごとのペース方針もあり得ます。
Q. 先に打てる状況でも、周囲に人がいたらどうしますか?
A. 先に打ちません。自分の打球が届く可能性のある方向に同伴者や前の組がいる場合は、安全が確保されるまで待ちます。準備ができたことだけを理由にプレーしてはいけません。
まとめ:正しい順番を知って、必要なときは安全に入れ替える
ゴルフの打つ順番は、ティーショットならオナー、2打目以降ならカップから遠い球が先、というのが基本です。グリーンに乗っていない人が必ず先になるわけではありません。「まだ乗っていないから先」と思っていた人は、次のラウンドでグリーンの端と花道の球の距離を見比べてみてください。
そのうえで、一般的なストロークプレーでは、誰かが準備中で自分が安全に打てるなら、声をかけて先にプレーするレディーゴルフが役立ちます。これは順番を知らなくてよいという意味ではありません。本来の順番を理解しているからこそ、無理なく順番を調整できるのです。
迷ったら「誰がカップから遠い?」「本来先の人は準備できている?」「自分が打っても安全?」「相手に一声かけた?」の4つを確認しましょう。ルールの知識と気配りがそろえば、速さだけでなく気持ちよくラウンドできるはずです。
公式ルール・参考資料
- R&A ゴルフ規則6:ホールをプレーすること(規則6.4・打順とレディーゴルフ)
- R&A ゴルフ規則5:ラウンドをプレーすること(規則5.6・プレーのペース)
- USGA: Order of Play / Ready Golf
- 日本ゴルフ協会(JGA)公式:ゴルフ規則の案内と更新情報
※本記事は2026年11月3日時点で確認できる公式規則をもとに、一般的な個人ストロークプレーを中心に解説しています。競技会では適用される競技条件・ローカルルールも確認してください。距離や登場人物の例は説明用の架空例で、実体験ではありません。

